中学の転校先の選び方
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)によって学校へ行くことができず、不登校が長期化している子どもたちがたくさんいます。
今の学校に戻ることが難しい場合、中学転校で環境を変えてやり直すことも1つの方法です。
起立性調節障害で不登校になった場合、中学転校を考えることで大切なこと、あるいは、どんな点に注意しなければならないのでしょうか?
この記事でわかることは、次の通りです。
起立性調節障害とはどのような病気なのか
ODで不登校になった場合に中学転校を考える意味
転校先で確認したい通学時間・勉強・人間関係
生活リズムを整えるために考えたい環境
寮生活という選択肢
起立性調節障害(OD)は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する自律神経の働きに不調が起こる病気です。思春期に多く、朝の起床困難、立ちくらみ、めまい、倦怠感などがみられます。
症状は午前中に強く、午後になると軽くなる傾向があります。また、学校や家庭などの心理社会的ストレスが成因の一つとなることがあります。
例えば、「学校へ行かなければならない」という圧迫感が症状を悪化させることもあります。ただし、ODを単純に心の問題と考えるのは適切ではありません。
日本小児心身医学会は、ODを身体の病気として説明し、生活リズムの調整、学校との連携、環境調整などを対応の一部として挙げています。
日本小児心身医学会のHPより転載します。
https://www.jisinsin.jp/general/typical_diseases/%E8%B5%B7%E7%AB%8B%E6%80%A7%E8%AA%BF%E7%AF%80%E9%9A%9C%E5%AE%B3/
「起立性調節障害」
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)は、立ち上がった時に頭痛、めまい、倦怠感などの症状がでる病気で、血圧や心拍数など循環器系の自律神経の調節に不調をきたすことが原因になります。思春期に発症しやすく、午前に症状が強いため、学校生活に支障をきたすことがあります。重症例では不登校やひきこもりになってしまい、その後の社会復帰にも大きな支障をきたすことがあります。
ODの有病率は軽症例も含めて中学生の約10%と多くの子どもたちを苦しめている病気で、不登校の約3-4割にODが併存することから、家族だけでなく学校の理解も大切になります。発症の早期から重症度に応じた適切な治療と家庭生活や学校生活における環境調整を行い、適正な対応を行うことが不可欠です。
ODで不登校になった場合、転校を考える意味の一つは、現在の学校環境を変えることです。
学校の人間関係、先生との関係、勉強への不安などが重なっているなら、新しい学校で環境を変えることが学校生活を立て直すきっかけになります。
ただし、転校はODそのものを治療する方法ではありません。医療機関での対応とともに、生活リズムや学校との関係、環境面について考えていくことが大切です。
ODに関係する学校ストレスだけでなく、不登校が続いたことで生じた悩みにも目を向ける必要があります。
不登校の原因の問題と、不登校後に起きた問題は別です。
特に大きいのが、勉強の遅れです。授業を長く休んでいると、学習内容が分からなくなり、新しい学校で授業についていけるか不安になることがあります。
友人関係についても、新しい学校で一から関係を作ることへの不安が生じます。転校によって人間関係を変えられる一方、新しい環境への適応も考えておきましょう。
「不登校が中学転校を考えるときに知っておきたいこと」でも、不登校と中学転校について詳しく解説しています。
ODで朝起きることが難しい子どもの場合、転校先までの通学時間は重要な確認項目です。
現在より遠い学校へ転校すると、今までより早く起きる必要があります。学校環境を変えても、長時間の通学が新しい負担になれば、学校生活を続けるうえでの妨げになります。
そのため、転校先を探すときは教育内容だけでなく、自宅から学校までの距離や実際の通学時間も確認しておきましょう。
「中学転校先の選び方|公立・私立・その他の選択肢を比較」では、転校先を選ぶときのポイントを整理しています。
ODへの対応では、早寝早起きなど、規則正しい生活リズムを心がけることも挙げられています。また、学校との連携や環境調整も対応の一つです。
ただし、朝の起床困難そのものがODの症状の一つであるため、本人の気持ちだけで解決しようとするのではなく、医療機関とも相談しながら環境を考えることが大切です。
家庭だけで生活リズムを整えることが難しい場合は、学校生活を含めて、どのような環境なら規則正しい生活を続ける機会をつくれるのかを考えてみましょう。
転校先を考えるときには、自宅から通う学校だけでなく、寮のある学校も選択肢になります。
寮生活では、起床や食事、就寝など、規則正しい生活習慣を送るための環境が用意されています。
寮で仲間と一緒に生活することで、生活リズムが作られ、起床も仲間の影響で自然に起きられるようになります。
学校敷地内に寮があり
、通学時間もほぼないので朝もゆっくり過ごせます。
ただし、寮の生活時間や不登校対応は学校によって異なります。家族と離れて生活することについて本人がどう感じるのかも含め、実際の生活やサポート体制を確認しておきましょう。
「全寮制の中学校へ転校するという選択肢」では、全寮制の中学校へ転校するときの特徴や学校選びについて詳しく解説しています。
転校を考えるときは、現在の学校から離れることだけでなく、転校先で何が変わるのかを考えてみましょう。
転校で生活リズムを望むだけではなく、人間関係、勉強、通学時間、学校の雰囲気など、現在負担になっているものを一つずつ整理します。そのうえで、転校先にその問題を変えられる環境があるのかを確認します。
「新しい学校ならやり直せる」と考えることは、転校を検討するきっかけになります。一方で、新しい環境にも別の負担があるため、条件を確認してから学校を選ぶことが大切です。
転校の一般的な条件や手続きについては、「中学転校はどうやってする?転校の条件・手続き・流れを解説」を確認してください。
A:起立性調節障害は身体の病気です。
血圧や心拍数などを調節する自律神経の働きに不調が起こることが基本的な病態です。一方で、学校や家庭などの心理社会的ストレスが成因の一つとなることがあります。
そのため、身体面だけでなく、心理面や学校・家庭の環境も含めて対応します。
A:環境の変化が必要なら転校するのがいいでしょう。生活リズムを整えることが解決の1つだと言われています。
現在の学校でどのような負担があるのかを整理し、それを転校によって変えられるのかを考えます。勉強の遅れや通学時間など、転校後の負担についても確認しましょう。
A:ODへの対応には、生活リズムの調整、学校との連携、環境調整などがあります。現在の学校環境がストレスになっている場合は、転校によって環境を変えることが学校生活を立て直すきっかけになります。
規則正しい生活リズムをいかにして作り出すかがポイントの1つです。
A:生活リズムを整えやすい環境を必要とする子どもには、寮生活が選択肢になります。
起床や食事、就寝などの時間が決められている学校では、規則正しい生活を続ける環境をつくれます。一方で、不登校などのサポート体制が十分かを確認して選ぶことが大切です。
A:現在の学校で負担になっていることを、転校先で変えられる環境か確認することです。
通学時間、学習面のサポート、人間関係、学校の雰囲気、不登校経験への理解、生活リズムなどを確認しておきましょう。
起立性調節障害は身体の病気ですが、学校や家庭などの心理社会的ストレスが成因の一つになることがあります。
ODで不登校になった場合は、現在の学校で感じている負担だけでなく、不登校による勉強の遅れや人間関係への不安も含めて考えることが大切です。
中学転校を考えるなら、「転校すれば変わる」と考えるだけではなく、転校先で何を変えたいのかを整理しましょう。
通学時間や学習環境、人間関係、生活リズムなどを確認し、その子どもに合った環境を探すことが転校先選びのポイントになります。
規則正しい生活を送る環境として、寮生活が選択肢になる子どももいます。本人の希望や学校・寮の環境を確認しながら、医療機関とも相談して考えていきましょう。
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